「こわれ易い壺を曲がり角で売るなんて・・・。 今度は、お城の台所で働くんだ。」 口答えも出来ず、お姫様はお城で働き始めました。 重い鍋を火にかけたり、お皿を洗ったり、毎日山の 様に仕事があります。 |
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お姫様は腰の両側に壺を吊るしました。 その壺にコック達がくれたご馳走の残り物を入れ て、家に持って帰るのです。 「良くやっている様だな。」 ギター弾きにほめられて、お姫様は嬉しくなりました。 |
ある日、お城の若い王様の結婚を祝うパーティーが 開かれることになりました。 お姫様はくたくたになるまで働きました。 美しい大広間に次々とお客が入って来ます。 |
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お姫様は扉の影から見とれていました。 「私はわがままだから、もうパーティーにも出られ ないのね・・・。」 粗末な身なりのお姫様のそばを通りかかる度に、 召使達はそっとご馳走の残りを壺に入れてくれました。 |
その時誰かが近づいて、お姫様の手を取りました。 「綺麗な娘さん。私と踊って下さい。」 立派な服を着た、若い王様です。 その顔を見て、お姫様は真っ青になりました。 あの『三日月王』だったのです。 |
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「手を離して下さい・・・。」 慌ててお姫様は逃げ様としました。 王様を馬鹿にした自分が、みすぼらしい姿でいる のが恥ずかしかったのです。 けれども王様はお姫様の手を離さず、大広間に 引っ張って行きました。 |