ものがたり (その2)
すると、棺から石になったお姫様が出て来ました。

そこへガヤガヤと小さな悪魔達がやって来たのです。

「姫、さあ踊れ ! 」

お姫様の踊りを眺めながら、悪魔達は宝石を投げ

合って遊び始めました。

番人は柱の後ろで震えています。

そのうちに悪魔達が口々に叫びました。

「宝石が一つ足りないぞ ! 」

番人の服の中で、宝石が明るく光っています。

「あそこの柱の影だ ! 」
悪魔が触れたとたん、番人は石に変わりました。

それから悪魔達は、石になった番人を地下の穴倉

に投げ込んでしまったのです。

やがて教会の鐘が一時を打つと、お姫様は棺の中

に戻り、悪魔達も帰って行きました。
王様は新しい番人を立たせました。

けれども次の日も、またその次の日も、同じ様に

番人がいなくなってしまいます。

「真夜中の十二時に恐ろしいことが起こるそうだ・・・。」

みんなは怖がって、誰も見張りをしようとしなくなりました。
困った王様は国中におふれを出しました。

棺の番をして呪いを解けば、姫の花婿としてお城

に迎えるというのです。

牧場の羊飼いもおふれを読みました。

『ヤーコプ』という正直な若者でした。
「僕が呪いを解いてあげたいなあ。」

ヤーコプは直ぐにお城に出かけ、棺の番人になり

ました。

夜になると、棺に飾られた宝石が、月の光にキラキ

ラと輝きました。

あたりはシーンとしています。
・・・・・次号 (その3) へ続く
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