世界の名作 「真夜中のお姫様」
ものがたり
或る国に、子供のいない王様とお妃様がいました。

或る日、お妃様は寂しくなって、こう言いました。

「ああ・・・ ! 悪魔にお願いしてでも、子供が欲しいわ。」

すると間もなく、お妃様に可愛い女の子が生まれた

のです。
王様もお妃様も大喜び。

女の子はすくすくと育ち、綺麗なお姫様になりました。

ところが、あした十五歳になるという日、いきなり

お姫様は王様にこう言いました。

「明日、私は悪魔の呪いで、死ななければなりません。」
「それが生まれる時の、悪魔との約束なのです。」

それを聞いて、王様は真っ青になりました。

お妃様は泣きながら言いました。

「ああ・・・あの時、私があんなことを言わなければ・・・。」

するとお姫様は、二人に次の様なことを頼みました。
私の棺を教会に置いて下さい。 そして三日間、

正直な人が見張りをすれば、呪いは解けて、私は

生き返ります。」

次の日、お姫様は本当に死んでしまいました。

すると、お姫様の体はみるみる灰色の硬い石に変

わりました。
王様とお妃様は泣きながら、宝石で飾った棺に

お姫様を入れました。

「なんとしても呪いを解いて、姫を生きかえすのだ ! 」

王様は棺を教会に運ぶと、見張りの番人を立て

させました。 その夜のことです。
窓から、月の光がさし込んで来ました。

棺に飾られたたくさんの宝石が、月の光にキラキラ

輝いています。

番人は思わず、宝石を一つポケットに入れました。

その時、教会の鐘が、夜の十二時を打ち始めました。
・・・・・次号 (その2) へ続く
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